
Interview
自愛のカタチ図鑑 Vol.2
山﨑桃子さん
【プロフィール】
フリーランス14年の伴走支援 、心と働き方のカウンセラー
大学卒業後、印刷会社、コンテンツ制作会社勤務を経て、ライター・編集者として独立。 企業のコーポレートサイトや採用サイト、インタビュー記事、コラム制作などに携わる。2020年に長野県松本市へ移住。近年は心理学・カウンセリングも学び、ライティング指導やキャリア支援を通して、「個人が自立・自律して、自分らしく生きる」ための伴走を行っている。園芸、読書、ゲーム、カメラ、自然散策が好き。今後は農のある暮らしと福祉分野への歩みも深め、より幅広い人の支援に携わっていきたいと考えている。
【紹介文】
今回お話を伺って感じたのは、桃子さんは「何をしている人か」以上に、「どう在りたいか」を大切にしながら生きてきた人だということでした。肩書きや働き方が変わっても、そのたびに自分の感覚に立ち返り、違和感をごまかさずに道を選び直してきた桃子さん。その静かな誠実さと、自分らしく生きようとする人へのまなざしの温かさが、印象的でした。
目次
■ジャズのセッションみたいに
かすみ:
桃子さんが以前にくださった言葉で、「私が提供するカウンセリングやセッションは『ジャズのセッションみたいに』していきたい」というのが、すごく桃子さんらしいなと思っていて。
桃子さん:
うれしいです。私はカウンセラーでありたい気持ちはあるんですけど、「カウンセリング」って、マイナスをゼロに戻すみたいな一般的なイメージがあるじゃないですか。でも私がやりたいのは、それだけじゃないんですよね。もっと「自分らしい生き方を一緒につくっていく」ことも大事にしたい。
その場で生まれてくるものを、一緒に共同でつくっていく感じ。だから私は「カウンセリング」より「セッション」という言葉のほうがしっくりくるんです。
かすみ:
一方的に教える感じじゃないんですね。
桃子さん:
そうなんです。片方が教えて、片方が受け取る、みたいな関係性があまり居心地よくなくて。「先生」になりたいわけではないんですよね。
その人がその人でやっていけるように支えたい。でも、私の真似をしてほしいわけじゃない。相手を私の色に染めたいとか、派閥をつくりたいとか、本当にないんです。
かすみ:
たしかに、「桃子派」みたいなイメージはないです(笑)。
桃子さん:
嫌ですね(笑)。もし自分の派閥みたいなものものができちゃったら、 たぶん私のほうが病みます。私は、自分の居心地のよさをすごく大事にしていて。合わないやり方はやらない、というのは、年齢を重ねる中でかなり身についてきた感覚です。
■王道に逆らいたいわけじゃない。ただ、自分に嘘がつけない
かすみ:
「合わないやり方」って、たとえばどういうことですか?
桃子さん:
わかりやすいのはSNSですね。私は昔から、自分をどんどん出して発信するやり方があまり得意じゃなくて。長文のブログを書くのは好きなんですけど、短い言葉で見せ方を工夫して広げていく、みたいなやり方はどうしても無理なんです。
別に王道が悪いとも思ってないし、反発したいわけでもない。できるなら王道でうまくいけたらいい。でも、自分を捨ててまで合わせるのは違うよね、っていう感覚があるんです。無理なのにやると、結局自分が潰れてしまうので。
かすみ:
「王道に反発したい」んじゃなくて、「体感として受け入れられない」感じですかね?
桃子さん:
そうそう。まさにそれです。私がただ無理なだけ。でも、だから何もしないんじゃなくて、「じゃあ自分に合うやり方は何だろう」と模索してきたんですよね。

■「影響を与えたくない」の奥にあるもの
かすみ:
「影響を与えたくない」っていう言葉も、桃子さんらしいなと思っていて。
桃子さん:
これは、もしかしたら自信のなさとも関係してる気がします。影響を与えるのが、ちょっと怖いんですよね。「私がそんなことしていいのかな」って。
でもその一方で、自分の中に持論はあるんです。仕事の進め方でも、生き方でも、「ここは大事だよね」と思ってることはたくさんある。ただ、それを強く世の中に打ち出していくことには、やっぱりブレーキがかかる。
かすみ:
人によって、ちょうどいい温度感ってありますよね。
桃子さん:
ありますね。私はガンガン影響を与えていくスピード感ではいけない。着実に積み上げて、その積み上げが自分の実感になるほうが合っているんです。言ってることと、自分がやってることがつながっていないと気持ち悪い。だから大きなことを言いたいわけじゃなくて、地に足をつけていたいんですよね。
■私にとって大事なのは、「意味」があるかどうか
かすみ:
桃子さんって、慎重にコツコツ積み上げるタイプでもありますよね。
桃子さん:
そうですね。でも石橋を叩くというより、私の場合は石橋を自分で作ってる感じかもしれないです。
こっちに行きたいから、自分で一個ずつパーツを作って、はめて、確認して、また一歩進む。誰かが用意した橋を渡るんじゃなくて、自分で作った橋を、自分で確かめながら進んでいく感じ。
だからこそ、「これでいいのか」「本当にズレてないか」はすごく気にしていると思います。そのズレを感じた瞬間に、私の中では意味がなくなっちゃうから。
かすみ:
「意味」って、今日のキーワードかもしれませんね。
桃子さん:
そうそう、お話していてあらためて思いましたが、私は、仕事でも暮らしでも、「自分にとって『意味』があるかどうか」がものすごく大事なんです。社会的に正しいかどうかより、私がそこに意味を感じられるかどうかが、すごく大きい。
■東京を離れて見えた、「私が私であること」
かすみ:
その「意味」って、移住にもつながっていますか?
桃子さん:
はい。東京から松本に移ったのも、その理由が大きかったです。東京に住み続ける意味が感じられなくなったんですよね。やりたいことが思い浮かばないし、ただそこにいても空虚な感じがして。
でも松本では、景色を見ているだけで胸が高鳴るんです。山の緑が濃くなっていく季節なんて、本当にいるだけで意味を感じられて…。
たぶん「その場所にいることで、どういうメリットがあるか」だけじゃなくて、「肩書きなどを全部取り去った『本来の私』がここに存在していられる意味」にもつながっているのかなと思います。
かすみ:
「私が本来の私でいつづけられる意味」なんですね。
桃子さん:
そうかもしれないです。私は、「素の私」「本来の私」という存在をすごく大事にしているんですよね。だから、どこにいるのか、何をするのかも、全部「私が私として存在できるか」に関わってきて。
名前や肩書きも、私にとっては看板みたいなものなんです。もちろん必要なこともあるけれど、その下にある「素の私が本音で何を感じるか、どう思うか、どう在りたいか」のほうがずっと大事。
最後に残るのは、やっぱり「私が私であること」なんだと思います。

美ヶ原から松本平の眺め
■ライターの先に見えてきた、「心と現実をつなぐ」仕事
かすみ:
いま桃子さんが関心を向けている心理や福祉も、そこにつながっているんでしょうか?
桃子さん:
つながっていますね。
私は10年以上、ライティングや編集の仕事をしてきたんですけど、30代後半くらいから、「これだけをずっと続ける人生でいいのかな?」っていう感覚が出てきたんです。
書くことは好きだし、意味もあった。
でもそれだけでは、少し足りなくなってきた。
たぶん、もっと世の中に残していきたいとか、人に関わりたいとか、そういうものが出てきたんだと思います。
それで、フリーランスになりたい人や、働き方を変えたい人の相談に乗る機会が少しずつ増えて。
そこできちんと人に関わるには、対人援助を学んだほうがいいと思って、心理やカウンセリングを学び始めたんです。
そしたら、カウンセリングはすごく自分に合っていたなって感じられて。
人の内面や物語に触れて、それを言葉にしていくことって、インタビューにも近いんですよね。
でも、実際に相談に来てくださる方のお話を聞いていると、心の問題だけでは済まないことが本当に多くて。
発達特性があったり、障害者雇用で悩んでいたり、就労支援を使っていたり。
「心はしんどい。でも明日からどうやって働けばいいんですか」とお悩みの方が多くいらっしゃいます。
そこで、心理だけでは足りないんだって気づいたんです。
私は、心と現実をつなぐ役割がしたいんだなって。
だから今、精神保健福祉士の学びにも関心が向いていて。
メンタルの不調を抱えた人が、社会の中でどう生きるか。
その橋渡しができる人になりたいと思っています。
かすみ:
なるほど!ライターという肩書きを脱ぎ始めたことで、桃子さんらしさがさらに1段深く、極まってる感じがしますね。桃子さんだから支援が届く方、たくさんいらっしゃいそうですね。
桃子さん:
ありがとうございます。
心だけでもない。現実だけでもない。その両方を大事にしたい。
それが今、いちばん見えてきている私のアイデンティティかもしれません。
■「決まっていないこと」は、何も悪くない
かすみ:
最後に。この記事を読んでいる人の中には、人生に迷っていたり、やりたいことがわからなくなっていたり、何も決まっていなくて不安な人もいると思います。そんな人に伝えたいことはありますか?
桃子さん:
まず、決まっていないことは何もネガティブじゃないと私は思います。
ただ、そのときに大事なのは、自分がどうしたいのか、自分はどういう人間なのかを考えることを諦めないことじゃないかなって。
「自分と向き合う」って言葉は、ちょっと安っぽく聞こえるかもしれないけど、でもやっぱりそれしかないと思うんです。
決まっていないときって、どうしても人に流されたくなるんですよね。それは人間として、自然なことだと思います。
誰かの意見に乗っかりたくなるし、答えを外に探したくなる。
でも、人生をちゃんと自分で生きようと思ったら、最終的には自分で答えを出していくしかない。
だから、どんな方法でもいいから、
自分を知ることを諦めないでほしいです。
燃え尽きているなら、その自分に嘘をつかないでほしい。
不安なら、その不安にも意味があると思ってほしい。
そして、責任の所在を外にしないこと。
誰かがどうにかしてくれる、ではなくて、自分で見つけていく。
時間はかかっても、そこをやめなかった人は、
きっとその人らしい生き方に近づいていけると、私は本当に思っています。
かすみ:
桃子さんにしか言えない、強さと優しさを感じます。背中を押していただけるようなお言葉ですね。今日はありがとうございました!

■山﨑桃子さんの活動はこちら
ライティングや働き方について相談したい方、
自分らしい仕事の形や、心地よい生き方を少しずつ見つけていきたい方は、桃子さんの活動ものぞいてみてください。
▼ライティングや働き方について相談できる MENTA のページ
https://menta.work/user/99517
▼一人ひとりの「オリジナルな幸せ」に伴走する
心と働き方のカウンセリングルーム「オリジナルハピネス」
https://original-happiness.com/
